雇用の確保

This page was last updated on: 2023-05-25

危険や有害な労働の禁止

妊産婦の健康と安全を保護するための規則は、労働基準法で定められており、雇用者は母子に危険や有害を与える可能性のある業務を妊婦や産後1年を経過していない女性に就労させてはならないと定めています。

妊婦は1年間有害な業務を行うことは禁止されています。この有害な業務の中には、坑内での作業、重機を扱う仕事、有害な成分が発生する場所での業務などが含まれています。

妊産婦の労働に関して、使用者が有害危険業務に妊産婦を就労させないように使用者に多くの責任を法律では規定しています。

使用者は労働者の安全と健康を保障する必要があり、職場を快適な環境にすることと仕事の環境を改善させることによって、それを実現させなければなりません。使用者はまた、妊産婦の体調に関して考慮し、妊産婦からの申し出があれば次のような措置を取らなければなりません。

Ⅰ)通勤の軽減、ⅱ)休憩時間の延長、回数の増加、ⅲ)仕事の制限、労働時間の軽減、休日の許可

さらに、妊産婦が深夜労働、時間外労働、休日労働の取りやめを申し出た場合、使用者はそれを認めなければなりません。また同様に申し出があった場合、妊産婦の労働内容を軽度の労働に移行させなければなりません。

使用者は、妊産婦が健康診断や健康にかかわる指導に参加する時間を確保しなければなりません。

 

未就学児童を育てる母親は子供が病気やけがをした場合、1年に5日間の子供の看護休暇を取ることができます。2人以上の未就学児童がいる場合は、1年間に10日間取ることができます。また使用者は、妊婦や産後の女性が産前産後の医療指導を受けることができるように、労働時間の変更や労働の軽減が必要であれば行わなければなりません。

 

参照元:

労働基準法(1947) 64、65、66条

労働安全衛生法(1972) 3条

短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(1993) 2条

男女雇用機会均等法(1972) 12,13条

妊娠中及び出産後の女性労働者が保健指導又は健康診査に基づく指導事項を守ることができるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針(1997)

解雇からの保護

妊娠期間の解雇禁止規定は男女雇用機会均等法が定めています。

使用者がは妊娠や出産、労働基準法64条から67条までで定められている権利を行使した場合、妊娠出産による能力の減少以外の解雇理由を証明できない限り、出産を終えて1年以内の女性の解雇は無効になるとされています。使用者はまた、女性を解雇する際に結婚、妊娠、出産を理由とした解雇を禁止されています。この規定は、産前6週間(複数の子供を出産する際には14週間)、産後8週間、そしてその後30日間適用されます。さらに育児休業または介護休業を理由とした使用者による解雇は、社会的通念に照らしあわせて適切であると判断されるか、明らかに合理的な理由がない限り、労働契約法に基づく職権の濫用だとして認められません。

参照元:

労働基準法(1947) 19条

男女雇用機会均等法(1972) 9条

男女共同参画社会基本法施行規則(1986) 2条

育児・介護休業法(1991) 10、16条

労働契約法(2007) 16条

同じ役職に戻ることができる権利

妊娠や育児に関わる休業期間の解雇の禁止や待遇の差別の禁止に関しては、様々な規定があります。さらに労働者が出産や子育て、介護のために仕事を辞めた者がいる場合、使用者はその役職の募集をする際に以前の労働者を再雇用する特別な配慮が求められます。

産前産後休業や育児休業の終了後、使用者は労働者に対して不当な取り扱いをしてはなりません。それゆえ法律の下で出産後の女性は元と同じ役職に復帰することができることが権利として保障されています。2012年の最高裁判決によると労働者が妊娠期間に軽度な業務に移動したことを理由に労働者を降格することは、労働者との合意の上での降格か、円滑な業務を運営する上、または人員の適正配置の確保を理由に特段必要である場合を除き、認められないという判決を下しました。そのような措置を正当化するだけの明白な根拠の必要性が求められています。

参照元:

育児・介護休業法(1991) 27、30、31、32、33条

男女雇用機会均等法(1972) 9条

平成26年10月23日最高裁判決 男女雇用機会均等法9条産3項の禁止する取扱いの該当性

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